社員の心の健康が企業の生産性を左右する理由

  • HOME
  • ブログ
  • 社員の心の健康が企業の生産性を左右する理由

はじめに

働く人の心の健康は、企業の生産性・離職率・組織文化に大きな影響を与えます。
本コラムでは、厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」および関連する制度動向をもとに、社員の心の健康が企業経営にどのような影響を与えるのかを考えていきます。


メンタルヘルス不調による休業・退職の状況

令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、
過去1年間にメンタルヘルス不調により、連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は 12.8%でした。

このうち、

  • 連続1か月以上休業した労働者がいた事業所:10.2%
  • 退職した労働者がいた事業所:6.2%

社員の長期休業・退職は、現場の負担増・業務停滞・チームの心理的影響など、組織全体に大きな影響を及ぼします。
特に中小企業では、1人の休業が事業運営に直結することも少なくありません。


メンタルヘルス対策に取り組む事業所の現状

同じく令和6年調査によれば、ストレスチェックを実施している割合は 65.3% と6割強で、事業所規模別では次のとおりです。

  • 労働者数50人以上:89.8%
  • 労働者数30〜49人:57.8%
  • 労働者数10〜29人:58.1%

法令上ストレスチェックが義務付けられている50人以上の事業所では約9割と高い実施率となっている一方、義務対象外の規模では6割未満であることが分かります。

次に、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は 63.2%と報告されています。

事業所規模別にみると、

  • 労働者数50人以上:94.3%
  • 労働者数30〜49人:69.1%
  • 労働者数10〜29人:55.3%

規模が大きいほど取り組みが進んでいる一方で、
50人未満の事業所では、まだ十分とは言えない状況がうかがえます。


ストレスチェック義務化の拡大に向けた動き

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、
労働者数50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることが決定し、3年以内に施行されることが決まりました。

中小企業では、メンタルヘルス対策の体制整備が難しいケースも多く、
とくに50人未満の事業所では、制度の拡大にあわせて、外部専門家の活用や相談体制の整備がより重要になると考えられます。


「予防」と「早期対応」が生産性を守る

厚生労働省は、心の健康づくりにおいて、

  • 一次予防(不調の予防)
  • 二次予防(早期発見)
  • 三次予防(再発防止)

という三つの段階での取り組みを重視しています。

メンタルヘルス不調が顕在化してから対応するのではなく、
日頃から相談しやすい環境を整え、管理職が部下の変化に気づけるようにしておくことは、長期休業や退職といった事態を防ぐうえで非常に重要です。

相談体制の整備や管理職向けの研修は、

  • 「不調になってから対応する」のではなく
  • 「不調になる前に気づき、対応する」

ための土台づくりと言えます。
これは単に「優しさ」の問題ではなく、結果として欠員対応や採用コスト、チームの疲弊を防ぎ、組織全体のパフォーマンスを守ることにもつながります。


中小企業とEAPの役割

中小企業では、管理職が現場のマネジメントに加え、人事・労務・評価など多くの役割を兼務していることが少なくありません。
そのため、社員の不調に気づいても、十分に時間を割いて話を聴いたり、継続的にフォローしたりすることが難しい場合があります。

また、社内の人間関係が近いがゆえに、
「上司には言いにくい」「社内には知られたくない」といった心理的ハードルも生じやすくなります。

こうした背景から、社外の専門家によるEAP(従業員支援プログラム)は、

  • 匿名性の高い相談窓口
  • 専門家によるカウンセリング
  • 管理職向けのコンサルテーションや研修
  • ストレスチェック結果の活用支援

などを通じて、企業のメンタルヘルス対策を補完する役割を果たします。

特に中小企業においては、
社内だけではリソースや専門知識の不足しているケースが多く、外部専門家を活用することで、
経営者・管理職・社員それぞれの負担を軽減しつつ、メンタルヘルス対策を実行し、社員のメンタル不調や生産性の低下を未然に防ぐことができます。


おわりに

令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果からは、
メンタルヘルス不調による休業・退職が今も一定の割合で発生していること、
そしてメンタルヘルス対策への取り組みが事業所規模によって異なることが示されています。

さらに、50人未満の事業場にもストレスチェック義務化が拡大されることが決定し、
中小企業におけるメンタルヘルス対策の重要性は今後ますます高まります。

社員の心の健康は、企業の生産性・離職率・組織文化に直結するテーマです。
社内だけで抱え込まず、外部の専門家やEAPを活用しながら、
「社員が安心して働ける環境づくり」を進めていくことが、結果として企業の持続的な成長にもつながります。

目白心理総合研究所では、企業の規模や現状に合わせたEAP支援や、管理職向け研修、相談体制づくりのご相談をお受けしています。
一社一社の状況に寄り添いながら、無理のない形での「こころの健康づくり」をご一緒できれば幸いです。
ご関心をお持ちの企業様は、お気軽にご相談ください


出典

  • 「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」(厚生労働省)
  • 「改正労働安全衛生法(令和7年5月14日公布)」

 

お申し込み・お問い合わせ

目白心理総合研究所へのご相談はこちらから

TEL:050-1808-0811

お申し込み・お問い合わせ