2026/10/28

「タイムパフォーマンス(タイパ)」という和製英語が定着するほど、現代は効率化社会となり、動画を倍速で見たり、要約でサクッと情報を得たりすることが当たり前になりました。
しかし、人類がスピードに追い立てられるのは今に始まったことではありません。
今から約200年前の19世紀、蒸気機関車が初めて登場したときには、医師や学者たちは「人間が時速30キロ以上のスピードで移動すると、風圧と景色の激変に脳が追いつかず、精神異常をきたす(鉄道病)」と警告していました。
人類はいつの時代も「スピードの加速」に戸惑いながらも、それに過剰に適応しようとしてきた歴史があります。
さらに効率とスピードを追い求める現代において、脳をフル回転させている私たちは、「思考の浅さ」という重大なトラップにハマっています。
それを鮮やかに証明するのが、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)の有名な心理テストです。
「バットとボールを合わせて1ドル10セント。バットはボールより1ドル高い。では、ボールはいくら?」
頭にパッと「10セント!」と、浮かんだのではないでしょうか。
実は、「10セント」ではありません。
もしボールが10セントだと、バットは1ドル高い「1ドル10セント」になり、合計は「1ドル20セント」になってしまうからです。
正解は「5セント」なのですが、ハーバード大学などの優秀な学生でさえ、半数以上が「10セント」と間違えてしまいます。
なぜ、これほど簡単な計算に引っかかってしまうのでしょうか。
カーネマン教授によれば、人間の脳には「直感で素早く処理する速い思考(ファスト思考)」と、「立ち止まって深く論理的に考える遅い思考(スロー思考)」の2つのモードが存在します。
「1ドル10セント」と「1ドル」という数字を見た瞬間、脳は省エネのために「速い思考」を働かせ、深く考えずに直感だけで処理しようとします。
このように「速い思考」ばかり使っていると、脳は複雑な問題を深く考えることをやめて、このような直感の罠に簡単に引っかかるようになってしまうのです。
これは、知能ではなく、誰もが抱える脳のメカニズム(認知バイアス)の問題です。
どれほど世の中のスピードが加速しても、人間の脳が深く思考できるペースには限界があり、効率的な情報処理を常に優先していると、人生重大の決断や、自分自身の本当の気持ち(自己理解)を見落としてしまいます。
「最近、情報に追われて思考が浅くなっている気がする」「効率ばかり気にして、じっくり答えを出せていない」と感じたときこそ、あえてスピードを落とし、自分の「思考のクセ(認知バイアス)」を客観的に見つめ直してみてください。
目白心理総合研究所では、思考のクセや心のメカニズムを紐解きながら、焦りや迷いに振り回されない「自分らしい答え探し」をサポートしています。
お問い合わせは、ホームページ「お問い合わせ」からお気軽にお声がけください。
[一般社団法人 目白心理総合研究所]
臨床心理士 / 公認心理師 / 国家資格キャリア
/ CBT Therapist®︎ / CBT Therapist®︎ for Biz / CBT Extra Professional®︎ / 健康経営エキスパートアドバイザー
目白駅から徒歩2分
池袋駅から徒歩10分