賞与の給与化 ~ 給与派 vs 賞与派 ~

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賞与の給与化 ~ 給与派 vs 賞与派 ~

近年注目されている「初任給30万円時代」を迎え、「給与」の新しい動きが広がりつつあります。

それは、ソニーグループなど大手企業による「報酬制度の見直し」に始まり、その中で行なっている「賞与の給与化」が話題を呼んでいます。

「賞与の給与化」とは、毎月の「給与(月給)」とは別に支給される「賞与(ボーナス、特別手当)」の一部、または全額を、毎月の「給与」に組み込んで支給することをいいます。

「賞与」を「給与」に組み込めば、求人票に記載される「月給」額が高く見えるため、企業の人材獲得に有利になるなどのメリットがあります。

労働者間では、昨今の物価高において、月々の安定した生活費が欲しい「給与派」と、高額でまとまったお金が欲しい「賞与派」に分れているようですね。

今回は、消えつつある「賞与」の歴史について振り返ってみたいと思います。

日本の「賞与」の起源は、江戸時代に商人がお盆と年末に奉公人に配った「仕着」が由来とされ、夏は「氷代」、冬は「餅代」とも呼ばれて、特定の時期に生活費を補助する臨時的な手当として支給されていました。

また、武士の世界では、知行地を持たない幕臣に対して、年に数回「切米(きりまい)」という形で米が支給されていました。

「賞与」としての最古の記録は、1876年(明治9年)の三菱商会の例で、創業者である岩崎彌太郎が、イギリスの海運会社との競争に勝利した際に、社員の功績を労い「別紙目録通り賞与候」と通達して、臨時にお金を支給したのが始まりとされています。

その後、明治10年代から20年代にかけて、官吏や財閥系企業を中心に「賞与」の支給が通例化し、制度として定着していきましたが、役員やエリート職員が対象で、工員(工場労働者)には支給されないことが多かったようです。

大正時代に入ると、労働組合運動が活発になり、工員にも「賞与」を支給する動きが広がりましたが、職員と工員の間には依然として大きな支給格差(平均7倍以上)がありました。

第二次世界大戦後、インフレが進行し、労働者の生活が困窮する中で、「賞与」は「生活補填」としての意味合いが強まり、1940年代後半から1950年代にかけて、労働組合が「生活補給金」や「増産加給金」といった「一時金」を求めるなど、「賞与」が生活を支える重要な要素となりました。

高度経済成長期に入ると企業の業績が安定し、賃金全体に対して「賞与」や「一時金」の占めるウェイトが大きく増加し、年功序列の日本型雇用において「賞与」は、年次でほぼ一律に支給されました。

しかし、バブル崩壊以降は、企業の業績や個人の評価が「賞与」に大きく反映されるようになり、さらに近年、年俸制や成果主義を導入する企業では、個人の年間成果を年俸として定額で支払うため、ますます「賞与」の意味合いが薄れてきました。

このように、日本の「賞与」は、ささやかな習慣に始まり、現代の多様な働き方に合わせて、その姿を変え続けてきたのです。

高い「給与」は、安定した生活設計が立てやすく、一方「賞与」は、高額な買い物や旅行といった大きな計画を立てやすい上に、ご褒美としての特別感もあります。

さて、あなたなら「給与」と「賞与」のどちらを選びますか。

お問い合わせは、ホームページ「お問い合わせ」からお気軽にお声がけください。

どちらかでもなく、「両方派」の選択もいいですね。

⁡ [ 一般社団法人 目白心理総合研究所 ]
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