2025/11/12

企業における従業員のメンタル不調は、今や珍しいことではありません。働き方の多様化や人材不足、責任の重さなど、心身に負荷がかかる要因が複雑化する中で、一定数の従業員が休職を余儀なくされるケースは、どの企業にも起こり得ることです。そしてその後に直面するのが「復職支援」の課題です。
復職支援とは、単に職場へ戻すことだけを目的とするのではありません。真の目的は、「再び健康に働ける状態を安定的に維持すること」―つまり、“再休職を防ぎ、持続的な就業を支えること”にあります。そのための有効策としてあげられるのが、外部資源(EAP)との協働です。
EAPとの協働は、企業に“対応力の成長”をもたらす
EAPは、従業員のメンタルヘルスや職場課題に対して、専門家が支援を行う仕組みです。復職支援においても、本人の心身の状態に合わせた専門的なアセスメントや、段階的な職場復帰プロセスの提案・実施を通じて、再休職リスクを大きく軽減します。
しかし、ここで重要なのは、EAPに「丸投げ」するのではなく、企業の中で対応にあたる社員とEAPが「協働する」ことです。なぜなら、復職支援の場面は、企業にとっての“対応力を鍛える機会”でもあるからです。産業保健スタッフや人事労務担当、管理職がEAPと連携し、本人との関わり方や、職場環境の調整、組織内での情報共有のあり方を学びながら対応することは、その後、同様のケースが発生した際にも落ち着いて対応できる力となり、組織全体の成長へとつながります。
外部任せにしない「再発防止」の視点を持つことが重要
復職は「ゴール」ではなく「スタート」です。せっかく戻ってきた従業員が、再び短期間で休職してしまうというケースは少なくありません。そこには、復職プロセスの設計や関係者の連携不足、職場環境の再調整が不十分だったなど、複数の課題が含まれます。
このような“繰り返し”を防ぐためには、EAPによる支援だけでなく、企業側が主体的に関わる姿勢が不可欠です。たとえば、復職にあたり、状況を共有しながら無理のない働き方を共に設計したり、本人の困りごとをチーム内でどのようにサポートしていくかを共に考えたりといった取り組みが有効です。
また、復職支援を通じて得た知見を、社内の他の部署や管理職研修にフィードバックすることで、組織全体のメンタルヘルス対応力が底上げされていきます。こうした取り組みこそが、「再発させない組織づくり」へとつながるのです。
復職支援は、組織づくりのチャンスでもある
「うちには専門家がいないから」「どう対応していいかわからないから」と、メンタル不調の復職支援を外部に完全に委ねる企業は少なくありません。しかしそれでは、その都度同じような課題に直面することになります。EAPと協働することで、企業の中に“考えながら対応する力”が育ちます。そしてその力こそが、健康でいきいきと働ける職場づくりの礎になるのです。
復職支援の場面でこそ、EAPの専門性を活かしながら、企業の内側で知見を積み重ねていくことが、企業の持続的成長と従業員の安心につながっていく―目白心理総合研究所のEAP事業は「企業を強くする仕組みづくり」をお手伝いします。ぜひお問い合わせください。https://www.m-paa.org/eap_lp
