災害時のバイアス ~ 行動に与えるリスク ~

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災害時のバイアス ~ 行動に与えるリスク ~

2024年は、スタートから「能登半島地震」や「羽田空港衝突事故」が起きるなど、先行きの不安を感じるような災害の中で新年を迎えました。
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⁡ もし、今、あなたの住まい、職場、学校、外出先で非常ベルが鳴ったとしたら、どのように考えて行動しますか?

⁡(1)よくある誤操作や点検かもしれないので、しばらく様子を見る
(2)皆が避難していなければ、大丈夫だと思う
(3)周囲を見回して、煙等の危険がなければ大丈夫だと思う
(4)すぐに安全な場所に避難する

⁡ 人間は誰しも「バイアス」を持っていて、先入観や思い込み、直感などによって判断し、行動することがあります。

⁡ その中で「正常性バイアス(normalcy bias)」という、いわゆる「正常化の偏見」「正常への偏向」を持っていますが、その働きのおかげで、多少の異常事態が起きても「大したことではない」と、正常範囲内として認識し、日々の生活の中で生じる様々な変化や出来事、ストレスなどに過剰反応せずに、心の平穏を守ることができています。

⁡ しかし、この「正常性バイアス」は、災害などの非常時には「この程度なら大丈夫」「自分は大丈夫」といった過小評価につながってしまい、逆に被害を拡大させてしまう危険性をはらんでいます。

⁡ また、「みんなが逃げていないから大丈夫だろう」と、周囲の人と同じ行動を取ることが安全だと考えてしまう心の働きを「同調性バイアス」といいます。

日本人は特にこの「同調性バイアス」が強く、日常生活では協調性や一致団結につながる心理ですが、この「バイアス」も非常時では、周囲の行動をうかがっている間に避難を遅らせてしまうという危険性をはらんでいます。

先ほどの質問の回答で、「バイアス」がないのは(4)のみで、(1)と(3)は「正常性バイアス」、(2)は「同調性バイアス」が働いているといえます。

つまり、災害時には、この2つの「バイアス」が避難行動の遅延、さらには避難行動自体を行わないという選択をさせてしまうのです。

例えば、「東日本大震災」では、地震後に津波警報が出ているのを知りながらも多くの人々は避難をせず、実際に津波を目撃してから避難行動に移したので、まさに死因の約90%が津波によるものとなりました。

また「御嶽山噴火」では、亡くなった方のカメラや携帯電話には噴火の様子を撮影したものが残されていたことから、噴火に気づいた時点で即座に逃げなかったと考えられ、噴石による損傷死となりました。

そのほか韓国の「地下鉄放火事件」では、煙が充満しているにも関わらず、車両の座席に座ったままで逃げようとしない人が多数いたり、同様に「セウォル号沈没」でも船が大きく傾いているにもかかわらず、アナウンスに従い逃げることなく多くの方が亡くなりました。

これらの災害は、「これくらいなら大丈夫だろう」という「正常性バイアス」と、「みんなと一緒だから大丈夫」という「同調性バイアス」が働いたことで、事態を小さく見てしまったことが被害を拡大させたとされています。

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災害時に働くこのふたつの心理を知り、普段から意識を高めておくことが、逃げ遅れを防ぎ、防災・減災につながるといえますね。



⁡[ 一般社団法人 目白心理総合研究所 ]
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