マルトリートメント ~ 社会全体で支援を ~

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国際EAP協会認定【EAPコンサルタント技能検定】2024年8月 開催

「マルトリートメント」という言葉をご存知ですか。
「マルトリートメント」とは、1980年代にアメリカから広まった表現で、「treatment(扱い)」に「mal(悪い)」という接頭語をつけて、人あるいは動物に対する「不適切な扱い」「不適切な養育」を意味します。

これは「虐待」とほぼ同義といえますが、WHOの「チャイルド・マルトリートメント(Child Maltreatment)」の定義によれば、身体、精神、性虐待、ネグレクトを含む虐待をより広く捉えた、虐待とは言い切れないような、大人から子どもへの発達を阻害する行為全般を含んだ呼称とされています。

つまり、大人の側に加害の意図があるか否かにかかわらず、また、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、それは「避けるべき子育て」として「マルトリートメント」といえます。

「マルトリートメント」は子どものこころだけでなく、子どもの脳の機能や神経構造にもダメージを負わせ、行為によってダメージを受ける脳の部位が変わることも明らかになっていますが、脳に最もダメージを与えるのは、意外にも言葉によるもの(子どもへの暴言や夫婦間の罵り合いの目撃など)だそうです。

このように、「マルトリートメント」が、子どもの成長・発達に悪影響を与えることから、意欲の低下や引きこもりなどの問題へと発展し、さらには、大人になってからも依存症や精神疾患など心のトラブルに悩む可能性は高くなると考えられています。

では、どのような行為が「マルトリートメント」なのでしょうか。

例えば、暴力を振るう、拘束する、暴言を吐く、無視する、食事を与えない、性的行為などは、虐待として認識されやすいですが、そのほか「避けるべき子育て」には次のような行為が含まれます。

・授乳中にSNSや動画を見たり、スマホばかりいじって子どもの話を聞かない
・兄弟間で差別的に扱う
・車や自転車に子どもを置いたまま、買い物をする
・高層マンションのベランダに踏み台となるような物が置いてある
・親のたばこ、ライターを無造作に子どもの手の届くところに置く
・子どもを一人で留守番させる
・お風呂から出てきた父親が裸でウロウロする

これらのように、子どもの心や体が傷つく行為、子どもを危険にさらす行為すべてが「避けるべき子育て」であり、すなわち「マルトリートメント」に当たります。

とはいえ、親も人間ですから完璧ではありません。

あまり深く考えないで、あるいは、とっさに子どもを傷つけてしまうような不適切なかかわりをしてしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

過去に行った不適切なかかわりを取り消すことはできませんが、どのような行為が「マルトリートメント」にあたるのか知り、子どもを傷つける言動をくり返さないことが大切です。

一方で、「マルトリートメント」を予防するには、子育てに対する「養育者支援」も重要だといえます。

近年、少子化、核家族化、地域のつながりの希薄化など、養育環境が変化する中で、子育てが孤立化し、閉塞感が増加しています。

そのために、悩みを相談できる人がいなかったり、子どもを預かってくれる人がいない、子どもを叱ってくれる人がいないなど、養育者もまた大変な思いをしながら育児をしている現実があります。

「マルトリートメント」の低減に向けては、養育者に対する育児ストレスの軽減や、社会全体で子育てを支援できるような仕組み作りが必要ですね。

お問い合わせは、ホームページ「お問い合わせ」からお気軽にお声がけください。



[ 一般社団法人 目白心理総合研究所 ]
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