2025/06/20
日本の企業の約99%を占める中小企業。その多くが人手不足、長時間労働、職場の人間関係の問題など、日々さまざまな課題に直面しています。特に従業員数が少ない企業では、一人の不調が組織全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすことも少なくありません。そんな中、注目されているのが「EAP(従業員支援プログラム)」の導入です。
EAPとは、従業員の仕事に影響を及ぼすような心身不調や、職場の生産性に関わる課題に対して専門家の支援を受けられる仕組みです。多くは大企業で導入が進んでいますが、実は中小企業にこそ大きなメリットがあることをご存知でしょうか。
限られた人間関係の中に「第三者」を入れるという効果
中小企業では、従業員同士や上司・部下の関係が非常に近いため、トラブルが発生した際に社内だけでは解決が難しくなることがあります。EAPを導入し、カウンセラーや外部相談窓口という「第三者」を組み込むことで、従業員が安心して悩みを打ち明けられる環境が生まれます。その結果、早期の問題発見や職場の空気の改善につながり、離職の予防が期待できます
労務・総務部門との連携で、組織を強くする
EAPは単なる相談窓口ではありません。社内の総務・人事部門と連携し、メンタルヘルス研修やハラスメント防止研修、ストレスチェック後の職場改善提案など、組織全体を支える取り組みが可能です。特に中小企業では、制度や仕組みづくりに課題を抱える企業も多く、EAPの専門家と連携することで、経営や人材育成の基盤強化が期待できます。
経営者が「人の問題」に追われず、本来の業務に専念できる
「最近、部下の様子が気になる」「人間関係のトラブルが起きたが、どう対応すべきか分からない」──こうした悩みを経営者や管理職が一人で抱え込んでいるケースは少なくありません。EAPの導入により、これらの対応を専門家や自社の担当部門へ任せることができれば、経営者は本来の業務や戦略的な意思決定に集中することができます。これは小規模な組織にとって大きなメリットです。
生産性を高めながら、雇用を守る時代へ
今の時代、単に人を雇うだけでなく、いかに一人ひとりが能力を発揮できるかが企業成長の鍵となっています。EAPは従業員の働く環境を整え、健康を守り、職場へのエンゲージメントを高める仕組みです。従業員が安心して働ける職場は、離職率が低くなり、採用コストの削減にもつながります。生産性を高めながら雇用を安定させる──中小企業がこの時代を生き抜くために、EAPは有力なパートナーになり得ます。
中小企業だからこそできる、柔軟で実効性のあるEAPの活用。まずは小さな一歩から始めてみませんか?目白心理総合研究所は、会社の課題に寄り添い、最適な形をご提案します。ぜひお問い合わせください。
執筆:関 麻子/国際EAPプロフェショナル(CEAP)